【ascend】遊戯王で学ぶTOEIC英単語
Posted on 2022年 02月 23日 (Wed) in toeic_words
ascend
今回はascendを取り上げます。
意味は
- (上方に)登る
- 上がる
- (地位的に)向上する
などです。
weblioによれば
- 学習レベル : 5
- TOEICスコア : 600点以上の単語
でした。
(weblio (ascend)より引用)
"ascend"の対義語は"descend"(下がる)です。
"descend"については前回記事(【descend】遊戯王で学ぶTOEIC英単語)で紹介していますので、是非そちらも合わせて読んで頂けると嬉しいです。
"ascend"と言えば【ホープ】デッキの強化に繋がったあのカードですね。
《ZS-
なお"ascend"は動詞ですので、そのままでは名詞を修飾できません。
そのため、「アセンド・セージ」が"Ascended Sage"に訳されています。
"ascend"の過去分詞を使っている訳ですね。
"ascend"の名詞形は
- "acsent"(アセント)
- "ascension"(アセンション)
があります。
どちらも「上昇」を意味しますが、"ascension"は特に「天への上昇」、つまり「昇天」を意味することが多いです。
weblioによれば、"acsent"は学習レベル6、TOEIC730点以上の単語であるのに対し、"ascension"は学習レベル16とかなりハイレベルです。
でも遊戯王カード的には"ascension"(アセンション)の方が色んなカードが思いつくのではないでしょうか。
私がまず思いつくのは、《天穹覇龍ドラゴアセンション/Ascension Sky Dragon》です。
「ドラゴアセンション」は恐らく「ドラゴン」と「アセンション」のかばん語でしょう。
名前もイラストも好きなカードです。
「天穹(てんきゅう)」は「天空」を意味するそうなので、昇天(ascension)からの命名でしょうか。
手札1枚につき攻撃力が800上昇(acsend)する効果にもひっかけていると思われます。
英語名は《Ascension Sky Dragon》と、かなりシンプルになっています。
次は《メタファイズ・アセンション/Metaphys Ascension》です。
【メタファイズ/Metaphys】はそもそも"metaphysics"(形而上学)の略です。
形而上学は形のあるものを超えて、物事の本質や存在そのものの根本原理を探求する学問です。
何かの物そのものではなく、その本質が何かに着目するわけですね(間違ってたらごめんなさい)。
【メタファイズ】はすべて幻竜族ですが、幻竜族は「ドラゴン族が物質的でないより高次な存在になったもの」と考えられます。
この高次な存在に「上昇」する過程が《メタファイズ・アセンション》ではないでしょうか。
この幻竜族の設定を裏付けるカードがもう1枚あって、それが《幻界突破/Dracocension》です。
ドラゴン族を幻竜族に変化させる効果を持つカードです。
イラストは《ダーク・アームド・ドラゴン》が《メタファイズ・アームド・ドラゴン》に変容する様子に見えます。
英語名"Dracocension"は"Draco"(竜座)+"ascension"(上昇)でしょう。
日本語名では分かりませんが、《メタファイズ・アセンション》と《幻界突破》は、かなり意味合いが近い命名です。
幻竜の話をたくさんしてしまいました。
次は《
「昇格」と「昇華」に「アセンション」というルビが振られていますね。
《ZS-
英語名に"ascend"とその活用形を含むカードも見ていきましょう。
結構数があるので、要約してご紹介します。
先ほど、
"ascend"の名詞形は"ascent"と"ascension"があり、両方「上昇」を意味するが、後者は特に「昇天」
という旨の説明をしました。
"ascension"を含むカードは先ほどの3枚の他にもう1枚だけ存在して、それが《方界降世/Cubic Ascension》です。
「降世(ごうぜ)」は「神仏が人間となって現世に生まれること」を意味するそうです1。
「降臨」のようなニュアンスですかね。
となると"ascend"より"descend"の方が適切なのでは……2?
釈然としないので、もし何かご存知の方が居たらコメントなどを下さい。
じゃあもう1つの名詞形である"ascent"はと言いますと、1枚だけあります。
《デーモンの超越/Archfiend's Ascent》です。
このカードは《デーモンの召喚》シリーズに含まれます。
ちなみに《デーモンの召喚》の英語名は《Summoned Skull》です(例によって「デーモン」は宗教的なので避けられています)。
和名は謎に行為の名前がモンスター名になっているのが特徴的ですが、英語名だと「召喚されたドクロ」となり、その特徴はありませんね。
《デーモンの超越/Archfiend's Ascent》はその意味で和名に忠実な翻訳と言えそうです。
続いては《昇華する魂》です。
《
《昇華する魂》は《Ascending Soul》と訳されています。
ちなみに、ドライアイスのように固体が液体を経ないで直接気体になることも「昇華」といいます。
こちらの「昇華」は"sublimation"と言います。
《昇華騎士-エクスパラディン/Sublimation Knight》は実はこっちの昇華なんです。
炎属性で蒸気を身にまとっていることからもなんとなくイメージが付きやすいですね。
それはそうとなぜか「エクスパラディン」の要素が全く訳されていない……。
前回記事(【descend】遊戯王で学ぶTOEIC英単語)で紹介したように、"descendant"は「子孫、末裔」を意味します。
それを踏まえると、"ascendant"は何になるでしょうか。
そうです。「先祖」です。
ただこの用法はかなりまれで、「先祖」には"ancestor"が使われることが一般的かと思います3。
"ascendant"は「優勢」や「支配力」を意味することが多いです。
"ascendant"を含むカードは6種類もありますが、すべて「優勢」や「支配力」の意味で使われていると思われます。
6種類の内の4種は【極星天/Nordic Ascendant】に属するカードです。
(画像は《極星天ヴァルキュリア/Valkyrie of the Nordic Ascendant》)
ちなみに【極星】は北欧神話をモチーフとしていますが、"Nordic"はそのまま「北欧の」を意味します。
記事執筆時点ではちょうど冬季北京オリンピックが開催されていましたが、スキー競技の「ノルディック複合」なんかでも聞いたことがある単語ではないでしょうか。
6種類の内の残る2種は、
- 《増幅する
悪意 /Malice Ascendant》 - 《BF-孤高のシルバー・ウィンド/Blackwing - Silverwind the Ascendant》
です。
《増幅する
ただ「悪意」が"malice"(マリス)であることが覚えやすいので割と好きなカードです。
次の記事にも登場予定なのでぜひ覚えておいてください。
効果は「墓地の同名カードの枚数だけ毎ターン相手のデッキを削る」ものです。
このカードが増えれば増えるほどデッキ破壊の枚数が「上昇」することを"ascendant"で表現しているものと思われます。
《BF-孤高のシルバー・ウィンド》は、いわゆる【墓地BF】というデッキタイプが環境に君臨していた時期に遊戯王に触れていた人ならご存知かと思います。
"ascendant"に「孤高の」という意味はないですが、「優勢であること」=>「人と差をつけて高みに存在していること」=>「孤高」といったような解釈でしょうか。
調べた限りでは「孤高の」を1語で表せる英単語は見つかりませんでしたので、《BF-孤高のシルバー・ウィンド》は翻訳に苦労したカードだったのでしょうか……。
まとめ
今回は"ascend"、"acsent"、"acsension"、"ascendant"を取り上げました。
"ascend"は
- (上方に)登る
- 上がる
- (地位的に)向上する
"acsent"、"acsension"はどちらも「上昇」ですが、後者は特に「昇天」を意味し、
"ascendant"は
- 優勢、支配力
- (まれに)先祖
を意味しました。
幻竜族の設定にも触れました。
英語名を見て新しく分かることもあるという例を紹介できたのではないかと思っています。
前回記事は"ascend"の対義語である"descend"(下がる)を取り上げていますので、まだ読まれていない方はそちらも合わせて読んで頂けると嬉しいです!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
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辞典やネットなどで結構調べたんですが、「降世(ごうぜ)」の意味の説明は見当たりませんでした。なのでこれは方界降世のwikiに記載の情報を鵜呑みにしています。このwikiにも出典はないので、説明が誤っている可能性があります。 ↩
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前回記事で、「降臨」を"descent"で表現できると書きました。余談ですが、"ascension"は「昇天」である一方で、"descension"という単語は存在しなさそうです。少なくとも手元の辞典では何もヒットせず、Google検索しても固有名詞として使われている例しか見受けられませんでした。 ↩
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手元の英和辞典を何冊か確認しましたが、"descendant"の対義語に"ancestor"を挙げるものは多かった一方で、"ascendant"を挙げる辞書は1冊もありませんでした。また"ascendant"は多くの辞書で「優勢、優越」などの意味を記載しており、「祖先」の意味を記載していたのはジーニアス英和辞典のみで、しかも「(まれ)」という注釈付きでした。"descendant"は「子孫」の意味で一般的なのに、対義語らしき"ascendant"が全然一般的でないのはなんだか不思議です。 ↩